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2009年4月17日 (金)

ナノテクは第二のアスベストかもね

こちらのニュース、今月14日にオーストラリア労働組合評議会(ACTU)が、ナノテクノロジーは健康被害を及ぼす可能性があると注意を呼びかけたという。

1990年代は学術分野でしかなかったナノテクノロジーだが21世紀になって工業製品から化粧品、食品、検査薬品や医薬品へとその応用範囲が広がっている。

実用化は進んでいるのだが、ナノメートルサイズの微小な物質と生体の関係はいまだに良くわかっていない。それらが肺や消化管から吸収されること、その後血流に取り込まれ、肝臓や脳に運ばれるという研究報告もなされている。そこから一歩踏み込んで、生体組織に分布したナノ粒子がヒトの生命に与える影響についての調査はまだこれからという現状だ。

かつてアスベストが奇跡の石としてもてはやされた時期があった。しかし、数十年を経過してそれが中皮腫を引き起こすことがわかり、一転、厄介物となった経緯がある。ナノテクノロジーの産物も同じ道をたどるのだろうか。

既に、欧州安全衛生機構(The European Agency for Health and Safety at Work) はナノ微粒子を労働者がさらされるリスクのトップに挙げている。フランス政府はナノマテリアルを規制するためのタイムテーブルを既に設定した

労働者がさらされるナノマテリアルの濃度と量を、我々が既に食品から取り込んでいるそれの濃度や量を比べてみれば、後者の方が圧倒的に少ないだろう。だから、今早急にナノ微粒子、例えば微粒酸化ケイ素を食品から排除する必要はないのかもしれない。しかし、BSEや遺伝子改変作物に対してあれだけ神経質になるのだから、少なくとも労働環境で規制されつつある物質に対してもう少し注意を払ってもいいだろう。消費者団体が声をあげる前に、既にわれわれの食生活に気づかないうちにナノマテリアルは入り込んでいるのだ。

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奇しくも、今週月曜日の毒性学の講義では、ナノマテリアルの危険性について先生から話を聞いた。10年前では考えられなかったが、今では酸化チタンや酸化ケイ素などのナノ微粒子を含む日焼け止めや食品が多数存在している。先生は「データは忘れてください」とおっしゃっていたので、聞いた話をブログに載せることはできない。しかし、その話を聞いた人なら酸化ケイ素の含まれている食品を食べたいとは思わないだろう。

大学内のコンビニで買った清涼菓子。上の写真を撮った後で処理に困り「どう?食べる?」とクラスメイトに勧めてみたが、みんないらないと言った。同じ講義を聴いているのだから自分と同じように考えても不思議はない。

まて、自分が食べたくもない物を他人に勧めるのは失礼な話か。

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コメント

以前新聞に、「カーボンナノチューブはアスベスト並みの発癌性をもっていることが分かった」というニュースが載っていたことがあったような…

投稿: おちゃ | 2009年4月17日 (金) 00時19分

コメントありがとうございます。

石綿突き金網を研究室で使っている所はさすがにないと思われますが、カーボンナノチューブの危険性を認識せずに実験で使用している大学の研究室などはあるかもしれません。

ちょっと怖い話ですね。

投稿: シュナッペル | 2009年4月18日 (土) 09時20分

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